教育基本法の一部を改正する法律

教育基本法 改正案
(趣旨)
現行法が定める統制的・国家主義的教育方針を改め、民主的かつ個性を重視した主体的教育を実施する方針へと改定すること。
改正点を以下に列挙
全体的に、旧教育基本法(以下、旧法)に近い改正案となる。
一部分において、現行法の条文を取り入れ、かつ現代の情勢に合わせて加筆している。
具体的に
・前文を旧法のものに変更
・第一条を旧法のものを基調としつつ、「勤労と責任を重んじ」の箇所を「責任ある自由を重んじ」に変更
・第二条を旧法のものを基調としつつ、現行法の「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い」「ジェンダー平等を重んじ」を加え、「あらゆる社会的・文化的属性を差別せず」を加筆。
・第三条も旧法のものを基調としつつ、一項に「ジェンダー」を加筆し、現行法の障がい者教育の充実規定を二項に盛り込んだ。
・第四条は、旧法を基調としつつ、現行法の規定を一部第三項として付加した。
・第五条も、旧法を基調としつつ、文科省管轄の国立小中高に男女別学禁止規定を設けた。
・第六条も、旧法を基調としつつ、現行法の規定を一部、第二項として付加した。
・第七条は変更なし。
・第八条は、現行法の規定を削除し、旧法の第六条二項を独立した規定として記した。
・第九条は、旧法第七条に一部加筆したもの。
・第十条は、旧法第八条と同一である。
・第十一条も、旧法第九条と同一である。
・第十二条は、旧法第十条と現行法第十六条をを基調としている。
・第十三条は、現行法第十七条である。
・第十四条は、旧法第十一条と同一である。
・その他、「男女」や「性別」などの表記を、性の多様化に合わせて適宜修正した。

以下 改正全文
前文
 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
第一条(教育目的)
 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、責任ある自由を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
第二条(教育の方針)
 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、実際生活に即し、自発的精神を養い、ジェンダー平等を重んじ、あらゆる社会的・文化的属性を差別せず、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
第三条(教育の機会均等)
 (1) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、ジェンダー、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
 (2) 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
 (3) 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
 (4) 前項の規定は、別途法律で定められた法人によって設置される私立学校においても、同様とする。
第四条(義務教育)
 (1)国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
 (2)国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
 (3) 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
第五条(男女共学)
 (1) 人は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない。
 (2) 国は、前項の理念を尊重しなければならず、その設置する、文科省管轄下における各種学校は、男女共学でなければならない。
 (3) 前項の規定は、女子大学、およびその付属高校に限り、適用を免れる。
 (4) 地方公共団体は、第一項の理念を尊重しなければならず、その設置する各種学校に於いて、男女共学が可能な限り確立されるよう、努力しなければならない。
第六条(学校教育)
 (1) 法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
 (2) 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
第七条 (大学)
 (1) 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
 (2) 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。
第八条 (教員)
 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。
第九条(社会教育)
 (1)家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
 (2)国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。
第十条(政治教育)
 (1)良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。
 (2)法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
第十一条(宗教教育)
 (1)宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
 (2)国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
第一二条(教育行政)
 (1)教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。
 (2)教育行政は、この自覚のもとに、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
 (3) 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
 (4) 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
 (5) 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
第十三条 (教育振興基本計画)
 (1) 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
 (2) 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
第一四条(補則)
 この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。
付則
第一条 
 (1) この法律は、公布後、即日施行される。
 (2) 前項の規定は、第五条の条項については、当該規定に反する各種学校の募集を、次年度より停止し、施行時に在籍するすべての生徒が卒業し次第、当該学校を廃止する。ここをもって、施行とする。

2021年8月5日
参議院議員 Mischel Leon

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